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犬山城ファストパス実証実験(優先入場整理券)は有効

犬山城優先入場整理券 実証実験が、2022年11月19日、20日、23日に行われました。

実証実験の内容

「犬山城優先入場整理券の実証実験」が2022年11月19日(土)、20日(日)、23日(水・祝)に行われました。(本記事執筆時点では23日は実施予定)

優先入場整理券を「犬山城前観光案内所」で午前9時から配布。それを持っている方は犬山城の入場口から係員が案内し、優先的に天守へ登閣できるというものです。

1日を3回(11時の回、13時の回、15時の回)に分け、各回50名限定で行いました。(主管:犬山市歴史まちづくり課)

実験日2022年11月19日(土)、20日(日)、23日(水・祝)
整理券配布場所犬山城前観光案内所
配布開始時刻午前9時(なくなり次第終了)
優先入場の時間①11時の回(11時~13時に入場)
②13時の回(13時~15時に入場)
③15時の回(15時~16時30分に入場)
料金無料(入場料は別途必要)
当日の流れ犬山城入場券または城下町周遊券を購入
 ↓
犬山城前観光案内所で優先入場券を受け取る
 ↓
整理券に記載された指定時間に入場する
 ↓
アンケートに答える

これは、待ち時間の解消と周辺施設や店舗への人の回遊へとつながるかの実験です。

春の桜のシーズン、夏休み(特にお盆)、秋の行楽シーズンを中心とする繁忙期には、犬山城に入場するのに待ち時間が1時間以上になることがあります。春・秋は季節的にはまだよいのですが、夏は炎天下の中で1時間以上も行列になってしまい、熱中症などで体調を崩される方がいないか心配になります。

そのため、このような待ち時間の解消につながるかどうかが問われています

また、犬山城に入場してすぐさま帰るという方はまれだとは思いますが、周辺施設を一緒に訪れるという方はそれほど多くないのが現状です。ファストパス化ができれば周辺施設や城下町などにある店舗などへ人が流れることが期待できます

今回はこの実証実験にお客として参加してきましたので、以下にレポートします。

「犬山城優先入場整理券」とは、いわゆるファストパス=優先的に天守に登閣できる特別券

「犬山城優先入場整理券」とは、いわゆるファストパスです。つまり、この券を持っていると優先的に入場できるというものです。

有名なテーマパークではデジタルチケットやQRコードなどになっていると思いますが、今回は実証実験のため、アナログの紙パスでした。これを首から下げて入場口に向かうと優先的に案内してくれます。

「優先的に」というところがポイントです。どの程度「優先」されるのか、実際に体験してきたので後述します。

流れ

  1. 犬山城前観光案内所で「優先入場整理券」を受け取る(無料。ただし、犬山城入場券が購入済みであること)
  2. 優先入場整理券の入ったホルダーを首からぶら下げ、指定時間帯に入場する
  3. 売店前の案内テントに立ち寄り、優先入場整理券を提示する
  4. 係員のところまで進み、案内に従って入場する
  5. 帰りに案内テントに立ち寄り、アンケートに記入する

上のような流れで進みます。

現地モニターの結果:総じて有効であることを実感

まずは体験・体感したこと

まず、犬山城前観光案内所に行きました。

朝9時に観光案内所に行きました。

一番奥に受付があり、そこで「優先入場整理券」をもらいたい旨を申し出ました。

犬山城入場券を持っているか確認をされ、持っていなかったためその場で購入。

時間帯は一番混むであろう「②13時の回」、つまり13時~15時の入場の券をもらいました。

優先入場整理券の入ったホルダーと、入場までの流れの説明書を渡されました。

指定時間帯に犬山城の入場口に行き、入場。

13時を回ったころに、説明の通りにホルダーをぶら下げて入場口(チケット売り場の前あたり)に向かうと、係の人から「優先整理券をお持ちですね」と声をかけられ、入場口まで案内してくれました。

他の来訪者の後ろに並んで検温をし、入場券を渡しました。

入場すると別の案内の方が「こちらです」とテントまで案内をしてくれました。

案内テントから天守入り口まで案内

案内テントに行くと「優先入場整理券」を確認してくれ、また別の案内の方が「こちらです」と天守入り口まで案内をしてくれました。

そして、実証実験の案内板のところから、ほかの来訪者が並んでいる列に割り込んで並ばされました

これには驚き、そして気まずい。後ろの方が「なんであの人は横入りするの?」と言っているのが耳に入り、相当気まずい雰囲気に。

「優先」であるはずなのに、後ろ指をさされてしまうのはきつかったです。

天守に登るまでに5分ほど待たされた

「優先」なのにほかの方と同じ列に並び、気まずい雰囲気のまま5分ほど待ちました。さすがに後ろは振り返れませんでした💦

天守に登るのに5分ほど待った後、ほかの方と同じように上り、そのあとは特に優先されることはありませんでした。

ちなみに、そのときの待ち時間は「20分」だったので列をショートカットして「優先」されたことは間違いありません

観覧後、案内テントでアンケート

観覧が終わって天守から出た後は、案内テントに行ってアンケートに記入しました。

実験に協力したということで、犬山城カードを一枚いただきました。

良い点

実証実験を体験して、良いと思った点を列挙します。

  • 優先的に入れる
  • ほとんど待たなくてよい

優先的に入れるのはよかったです。

「優先入場整理券」なので当然と言えばそうですが、20分待ちのところを5分程度の待ち時間で済んだのは率直によかった

そして、ほとんど待たなかったのでスムーズに見て回ることができてよかったです。

これこそが「ファストパス」の最大のメリットですね。

あと、実験なので案内係の方がたくさんいたというのが本当のところでしょうが、副次的にせよ「こちらです」と案内されるのは「優先感」が出てよかった点です。

改善できる点

実証実験を体験して、改善できると思った点を列挙します。

  • 配布場所を複数にする
  • 特別入場券(入場券+優先券)にする
  • 首からぶら下げる必要はない
  • 天守へ入る列をわける
  • 天守を出てからの動線をずらす
  • 案内係の人を減らす

まず、配布場所を「犬山城前観光案内所」の一か所にせず複数にすると良い。実証実験なので一か所なのでしょうが、運用するとなると一か所ではあまり意味がないです。観光案内所に立ち寄らない人が多いからです。

次に、入場券を事前に買っておく必要があるのなら、優先券付き入場券の販売をしたほうが良い

三つ目に、ホルダーを首から下げる必要はまったくない。首からかけていたら天守内でも何か優先なことがあるのかと期待したのですが何もなかった。首からかけていることの意味がないので、案内の人に券を見せるだけでよいと思いました。

四つ目に、天守に入る列をわける。これは絶対必要です。普通に20分とか並んでいる人の間に割って入るのはいけない。並んでいる人の気分を損ねる原因になるし、割って入ったこちら側も気分が良くないです。「優先」は「横入り」ではいけないです。別の列を作ってそちらから「優先的に」入る工夫が必要です。それとあわせて天守を出てからの動線をずらす必要があります。

最後に、案内係の人を減らしましょう。人件費が一番コストがかかりますし、案内係の人の労力は大変です。案内板を動線にあわせて適切に設置すれば係員は減らせます。

これが実際にお客として体験・体感したことです。これを踏まえて、以下にファストパス導入への提案をします。

犬山城ファストパス導入への提案

【大前提】ファストパスは有料

提案というか、大前提として「ファストパス」は有料です。

無料はあり得ません。

なぜなら「優先」するからです。

「優先」に価値があり、価値があるものは適切な料金を頂戴する。これはマーケティングでは当たり前の話です。

ファストパスを無料で行えば、「えこひいき」「ずるい」という感情が生まれるのです。

そうではなく、「優先」に価値があれば「有料」でも何ら問題はありません。むしろ、価値があるから有料にしなければいけないのです。このファストパス制度はテーマパークなどで育まれて、文化として当たり前になっています。

なので、「ファストパス」を導入するのなら有料であるべきです。

ただし、いくらにするかは大きな問題です。

入場料が意外と安いので高く設定しにくいのが本音。本来なら入場料は現在の大人550円ではなく1,000円ほどが妥当。そのうえで、ファストパス付き入場料は1,500円ほどが妥当かと思います。

【提案1】ウェブで購入できるようにする

ウェブで予約&購入 ← これは必須

ファストパスを導入するには、ウェブで購入できるようにするのは「いまの時代には必須」です。

現地でしか券をもらえないというのは時代遅れです。ファストパスを有料にし、ウェブで購入できるようにするのです。

天守入場についてファストパス化している例は、おそらくないと思います。だからこそ、今の時代に即した形で犬山城が率先して行うべきなのです。

ウェブ予約できるようにすると、来訪者には次のようなりメリットが考えられます

  • 計画的に見学できる
  • 遠方からの来訪者が予定を立てやすい
  • 犬山での時間の使い方を計算しやすい

次に運営者側のメリットについても考えてみます。

  • 来訪予定者の人数が把握しやすい
  • 入場料の受け取りが自動化できる
  • 価値が高まり、来訪者が増える

これらのメリットが考えられるため、ウェブ予約はするべきだと提案をします。

入場料とセットで販売する

ファストパスは入場料とセットで販売することが望ましいです。別々は手間になるだけでメリットはほとんどありません。

逆にファストパス付き入場券をウェブで販売できれば、来場者側のメリットは非常に大きくなります。

入場券を買う列に並ぶ必要もなく、入場する列に並ぶ必要もなくなるからです。

人員を割く必要がない

ウェブ予約システムを導入すれば、入場チケットを販売したりチケットをもぎる人の負担を減らすことができます

余計な人員を配置する必要もなくなるため、適切な運用体制にすることができます。

こういう話をすると雇用機会を減らすのか!と言われる方がいますが、ウェブ予約&販売で空いた人材はサービスの質の向上に充てるのです。ほかにもたくさん仕事はあるはずですし、人手不足なはずなので、そちらで活躍していただくように再配置すればよいのです。

システムを作るには費用が掛かりますし、ランニングコストがかかります。でも人件費と比べたら近い将来メリットは出てくるはずです。

【提案2】入る列をわける

天守へ入る列をわける

天守へ入る列は分けるべきです。上述したように列の間に入ることは横入りの気分になるため、優先権を持っているにもかかわらず後ろめたさが出てしまいます。

しかし、天守へ入る列を完全に分けてしまえば優先権を持っている人(有料で購入した人)の特権として位置づけられます。これは横入りとは違います。新たな価値です。

例えば、上の図のような列を作ることを提案します。このためには天守を出てからの動線を移動させる必要がありますが、同時に変更すれば問題を解消できます。

登閣を優先する

最後尾に並ばなくてもよいというメリット=ショットカットするのではなく、登閣自体を優先させます。そうすることでファストパスのメリットを感じることができ、さらに価値が高まり、こぞってファストパスを買うようになるでしょう。

天守を出てからの動線をつくる

天守に入る列をわけることをした場合、天守を出てからの動線がぶつかってしまうため、新たな動線を作ります。

上図のような動線です。これにより、通常の登閣者、ファストパス登閣者、退出者の列がぶつかり合うことなくスムーズな回遊が期待できます。

また、退出された人が西側に回り込めば、また違った視点の天守を楽しんだり、天守の北西隅付櫓や弓矢櫓跡などを見て回る動線にもなります。これは犬山城の価値をさらに知ってもらうために重要な動線になります。

ファストパス化することで、このようなメリットにもつながるなんて一石二鳥です。

【提案3】「優先」以外の価値をつける

有料だから「優先に」できる

ファストパスは有料にするのが大前提ということを前述しました。

「優先に」するからこそ有料化できるし、「有料」にするから優先できるのです。

まずは「優先」の価値を最大限高めるための上述のアクションをしながら、以下の優先以外の価値も付加することによってさらに高い価値を提供することができるようになります。

ファストパス+限定プレゼントで価値を高める

まず考えられるのが、ファストパス付き入場券を購入して来場していただいた方には、限定のプレゼントをします。

今回の実証実験に参加した人には「犬山城カード」がプレゼントされました。

たかがカードですが、されどカードです。

特別に、限定プレゼントとなればうれしいものです。こういう価値も積み重ねていくことが大きな価値につながるのです。

ファストパス+限定ガイドで価値を高める

最後は限定ガイドをするという価値です。せっかく優先的に登閣できても、ただ上って景色を眺めて降りてくるだけではもったいない。ファストパス付き入場券を購入した方にはガイドがついて案内をするというのも価値を高める方法の一つです。

もちろん、ガイドさんに案内をお願いしたい人だけのサービスとしてで良く、すべての人にガイドさんをつける必要もありません。それはお客さん側で選択してもらえればよいでしょう。

ウェブ予約となれば、ガイドが必要な人が来るか来ないかわからずに待つ必要もなく、ガイドさんの予定も立てやすくなります。ボランティアガイドさんでも、民間のガイドさんでもよいと思います。

オプション型付加価値としていかがでしょうか?

まとめ

長々と書きましたが、2022年11月に行われた「犬山城優先入場整理券の実証実験」に参加してきました。そこで見えてきたこと、気づいたことが多々ありました。それを踏まえて、①ウェブで購入できるようにする、②入る列をわける、③「優先」以外の価値をつける、という3つの提案をしました。

文化財の「活用」ということが文化庁の方針としても出されていますが、このような「活用」の仕方があってもよいと思います。

ここまで読んでいただいた方はどのようにお感じになりましたか?
お気軽にコメント欄からコメントいただければ嬉しいです。みんなでよい方法を探っていきたいです。

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